第12回ボルダリングジャパンカップ2017男子決勝レポート
先日行われた第12回ボルダリングジャパンカップの決勝戦詳細レポートです。決勝課題の詳細と共に決勝の模様を紹介します。
Contents
男子決勝リザルト
男子決勝リザルトは以下の通り。
藤井快選手が唯一の2完登で優勝を決め、ボルダリングジャパンカップ2連覇を果たしました。
決勝戦の模様をご紹介します。
選手紹介
会場が暗くなり、選手が入場。競技順は渡部圭太、堀創、波田悠貴、藤井快、楢崎明智、杉本怜選手の順番。
合同オブザベーション
そしてそのまま合同オブザベーションタイムが始まり、決勝4課題を選手全員でオブザベーション。
第1課題
第1課題は1手目のホールドが遠く、いきなりダイナミックな動きが求められる課題。1手目を保持した後はボテを足で掻き込み、左に移動しバランスをとりながら立ち上がっていく。ダイナミックな動きとバランス力、静と動が入り混じった課題。
藤井、渡部、波田、杉本の4選手が完登
4選手が見事に完登し、幸先の良いスタートを切った。特に一番手で登場した渡部選手は見事一撃クリアを果たし会場をいきなり沸かせた。
一番手として登場した渡部選手。1手目を変則ダイノでしっかりとめて
上手くバランスを取りながら左のボテに乗り込み、立ち上がった。
最後は右足を上げて、ゴールマッチ。渡部選手見事電光石火の一撃を決めた。
楢崎選手はボーナスを保持
楢崎選手はボーナスまで保持するも、バランスが安定せず惜しくも完登ならず。しかし、1手目をダイノせずに足を残したまま保持し会場を驚かせた。
1手目まで距離があるが、、、
なんと足を残したまま、左手で保持。楢崎選手の持ち味である長い手足を生かしたムーブを披露した。
第2課題
2課題目は話題のホールド「スカイブルーガーリックサーフ」とカチで構成されたスラブ課題。ゴールも非常に薄いカチが設定されているだけで、課題上部でも繊細な動きが要求される。
2課題目は完登者0人
1課題目と打って変わり、2課題目は完登者0人という厳しい課題となった。「スカイブルーガーリックサーフ」が非常にテクニカルなホールドで、左側はツルツルしていて、フリクションが効かず、白い部分が若干効かせられる程度。見た目以上に悪く、多くの選手がスタートから苦戦を強いられた。
ここの距離が思った以上に遠く、右手を出す時に足を滑らせてしまう選手が多かった。足の力で体を押し上げる必要があるが、「スカイブルーガーリックサーフ」のフリクションの悪さに苦戦。
右手を保持した後、右足を上げてカチに乗り込んでいくが、その時に左足を滑らせてしまう選手も多かった。足と手両方とも悪く、バランス感覚が試された。
藤井、渡部、波田、楢崎の4選手がボーナスを保持
4選手がボーナスを保持。渡部選手と楢崎選手が最も完登まで近づくがゴールマッチに苦戦し、完登ならず。
渡部選手見事なバランス感覚でマントルを返し、ホールドに乗り込む。
そのまま立ち上がるも、ゴールまでの距離が遠い。白ボテをプッシュしながらバランスを取る必要があるが、足も悪く左手をボーナスから離すと足を滑らせてしまった。
楢崎選手がここでもリーチの長さを活かし、手前のカチを飛ばして、なんとそのまま右手がゴールに届いた。しかし、足場が悪く左手を中々離せず。最後は意を決して、左手を離してゴールマッチを狙うも足を滑らせてしまった。
杉本、堀の2選手は1手目で苦戦
杉本選手と堀選手は1手目を保持する際に足を滑らせてしまい、ボーナス保持ならず。「スカイブルーガーリックサーフ」が名前のインパクトと共に強烈な印象を残した第2課題であった。
第3課題
第3課題は強傾斜で黒ボテが威圧的に配置された保持力とパワーが試される課題。
1手目に配置された4つのビスも非常に小さく、保持力が試される。
第3課題も完登者は0人
2課題目に引き続き、第3課題も完登者は0人という結果に。ボーナス保持も藤井選手と楢崎選手の2名だけで非常に厳しい課題となった。
傾斜がきつく、この状態から次のホールドへ中々手を出すことが出来ない。右手を止めることが出来ずに、多くの選手がここから先に進めず時間切れとなってしまった。
楢崎選手は攻め方を変え、ランジ気味に狙いなんとかボーナスは保持するも上部に上がることは出来ず。
藤井選手が気迫の登りを見せる
他選手が最初で苦戦する中、気迫の込もった登りを見せ、一人上部まで上がり完登に近づいたのが藤井選手だった。
驚異的な保持力で右手を安定させると
そのままマッチし、この状態から全身の力を使い、なんと足を黒ボテまで上げ切った。
この状態で左手と右足の力で体全体を持ち上げていく
そして驚異的な保持力と全身の筋力で見事に上半身を起こし、ゴールまで後1手のところまで近づく。会場からも驚きの声が上がり、一際大きい「ガンバ」の声援が飛び交った。
しかし、力を使い果たしてしまったのか、ゴールまで近づくもプッシュしていた左手を滑らせてしまった。
落下後藤井選手も思わず天を仰ぐ。
第3課題終了時点で、男子は1完登が4人と混戦を極め、堀選手以外全ての選手に優勝の可能性が残った。 第1課題を一撃した渡部選手がトップを走り有利。 0完登の楢崎選手は1撃が求められる状況に。
第4課題
男子最終課題は芸術的な配置で実況も思わず「ピカソかダリのような課題」とコメント。
テクニカルインシデントが発生
一人目の渡部選手が足を360についているホールドに乗せた際に、なんとフットホールドが動いてしまい、競技が一時中断されてしまう。スタッフがホールドを固定し直し、残りタイム2:29の状態から競技を再開した。
競技再開するも、この状態から次の1手が止まらず、有利な状況にいた渡部選手はボーナスを取る事が叶わず。
波田、杉本、堀、楢崎の4選手はボーナスまで行くも完登ならず
厳しい体勢からボーナス保持まではいくも、ここから上がることが出来ず。
堀選手は右手でボーナスを止め、会場を驚かせた。しかし、ここから上がれず惜しくも完登ならず。
ここからが厳しく、中々上がることが出来ない。そんな中ついに
藤井選手が意地と気合いと根性の一撃!
最終課題で藤井選手が再び魅せる。
オブザベーションに時間をかけ、集中力を高めてスタート。
ここまでは問題なく進み、、、
そのまま左手を上げ、ボーナスも見事な保持力で止める!そして問題のここから、、、
なんと左足を上げ、左手の驚異の保持力で姿勢を安定させる。観客からの声援もどんどん大きくなり、会場は当日一番の盛り上がりをみせる。そして反動をつけ、ゴールを見据えて右手を振り上げると、、、
そのまま見事ゴールを保持!第4課題を一撃!!!
気合いのガッツポーズと共に藤井選手が叫ぶ。会場からも驚きの声と盛大な拍手が鳴り響いた。最終課題をただ一人完登し、自らの手で優勝を手繰り寄せた。
表彰式
藤井快選手が見事2連覇
決勝課題を唯一2完登し、藤井快選手がボルダリングジャパンカップ2度目のトロフィーを掲げた。男子初のボルダリングジャパンカップ2連覇。「男子は二度の優勝はない」というジンクスを見事打ち破った。競技後のインタビューでは最終課題を「意地と気合いと根性で登りきった」と語り、まさに気迫の込もった登りを披露した。
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